大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(行ケ)74号 判決

(一) 構成について

成立に争いのない甲第三号証(第一引用例)によれば、第一引用例には、保存包装麺の製造方法の一実験例として、比較的短時間たとえば五分間予め加熱して過酸化水素溶液に浸漬後ハイゼツクス袋に密封して蒸気により十分間加熱する例示があり、本願発明に予熱時間および茹上げのための加熱方法に限定がないところにかんがみると、その適度に予熱して袋に密封し、袋内で茹上げる技術は、そこに示されており、また成立に争いのない甲第四号証(第二引用例)によれば、第二引用例には、真空包装にぎりめしの従来の製造方法として、生米を煮炊に必要な水とともに耐熱袋内に密封し、その袋の外部から加熱して炊き上げる方法が記載されており、成立に争いのない甲第二号証(手続補正書)によれば、本願明細書に、本願発明は麺類の製造ばかりでなく、包装飯の製造にまで広く利用できると記載されているところからみても、煮炊の対象としての食料原料として、米と麺とに本質的な差異はないから、米を生麺にかえて密封した袋内で茹上げること自体は、第一、第二引用例を総合して、当業者であれば容易に推考できるものといわねばならない。

ところで、本願にいう、袋の上部に麺の膨潤代だけ真空部分を残して密封するという点についてみるに、第二引用例には、従来方法として、袋に、可及的に内部空気を排除して材料を入れ、密封して煮炊(炊飯)するということが記載されており、さらに、成立に争いのない甲第六号証(周知例二)によれば、密封袋内で食品を加熱処理する場合に、加熱による袋の内圧を緩和するために袋に余剰スペースをとること、内容食品の種類によつて含気率を加減することが記載されている。そして、本願における真空部形成なるものは、内部空気を絞り出すというだけでそれ以上何らの限定が示されていないのであるから、第二引用例にいう従来方法としての内部空気排除、さらに周知例二にいう余剰スペース保持と、別段異るものではないと認められる。

そうしてみると、生麺をそのままか、適度に予熱して麺の膨潤代に相応した余剰部分を予めとつて袋に密封し、袋内で茹上げる技術思想は、各引用例に示唆される技術および周知技術から容易に構成できるといわねばならず、この点に関する原告の主張は採用できない。

(二)、作用効果について

原告が主張する作用効果のうち、1、防腐剤を使用しないで殺菌できる点および2、ふきこぼれがなく麺が十分膨潤して添加分を十分吸収できる点は、耐熱性の包装袋内に食料の原料を封入、密封して煮炊に必要な時間の加熱処理を行うことが可能でありさえすれば、当然考えられる効果であり、3、コンベアー処理による製造の能率化、4、排水の汚染防止も、食品原料の密封煮炊という単純な工程及びこれによる内容物溢出防止から当然考えられる効果であつて、いずれも格別のことではなく、各引用例、周知技術から当業者が容易に予測できる範囲をでないから、この点に関する原告の主張も採用することはできない。

(三)、結び

以上のとおり、本件審決には原告主張の違法はないから、本訴請求は失当として棄却する。

〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

常法により製造した生麺をそのままか或は適度に予熱して、これが茹上げ中に吸収する湯または水とともに、耐熱性の袋に入れてから、内部の空気を絞り出し、袋の上部に麺の膨潤代だけ真空部を形成した後、袋の口部を密封して、適宜手段により加熱することにより、密封袋内で麺を茹上げることを特徴とした包装麺の製造方法

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